■山本五十六の有名な言葉
「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」
「話し合い 耳を傾け 承認し 任せてやらねば 人は育たず」
「やっている 姿を感謝で 見守って 信頼せねば 人は実らず」
会社で新人教育をやる際に、この言葉は素晴らしいなぁ、と感じていた。
家で、育児をする時にも、常々そう思って、できるだけ実践するように、と行動している。
難しいけれど。笑
教育の本質だと、常々感じます。
だからこそ、昔も今もさび付かない教えとして、語り継がれるのでしょう。
そんな話を友人の研修担当と話した時に、その有名な前半部分だけをとりあげて
熱く語っていた。
そして、後半を知りませんでした(正確には「なんかあった」けれど覚えていないとのこと)
そこに、違和感を感じたので、この言葉について、3回にわたって書きます。
■山本五十六の「やってみせ…」の伝えたいことの本質は後半にあり!
人によると思いますが、
「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」
この部分にだけ、すごく感銘を受ける人がいます。
そのとおり!と。
ただ、私の経験上だと、そういう人は「ただ、人を動かしたい」という「豪腕経営者タイプ」が多い印象です。
相手がどうか、より、自分に有意義な形に進めたい、という意識の高い人です。
ただ、この言葉の本質は、中盤から後半にあると私は感じます。
そもそも、日本語は後半に大切な文章を置きたがります。
この言葉もまさにその通りです。
もちろん、前半が不要か、といえば大切な言葉が書いてありますが、そこだけ拾い上げて実践するのは、
文脈を無視してヤイヤイ政治家の発言をとりあげる週刊誌などと一緒です。
前段、中段、後段、があって、真に伝えたいことです。
きちんと、理解して実践してほしいと思います。
■「やっている 姿を感謝で 見守って 信頼せねば 人は実らず」
・やっている 姿を感謝で 見守って
本人が自分の意思で行動している姿を、温かく見守る。
会社の部下であれば、初めてまかせた仕事を、一生懸命考え、検討し、行動に移す。
慣れない環境で、スケジューリングから準備といった物理的なものに加え、
ストレスなどの精神的な部分まで相当な負担がかかっています。
その、会社のために行動し、成長する姿に感謝しましょう。
子育てで考えると、子供はすべてが初めての世界・初めてのことに挑んでいます。
自分なりに考えて、行動しますが、どうしても想像力や理解力をふくめ、
親の考え通りには進まないことも多いです。
しかし、親の考え通りになんて、動くわけないですよね、同じ脳みそ持ってるわけじゃあるまいし。。
大切なのは、子供たちも一生懸命にもがいて、あがいて、いるわけです。
親の笑顔が見たくて。
認めて、受け入れて、応援しましょう。
・信頼せねば 人は実らず
そして、見守るだけではなく、「信頼」します。
頼ります。
信じ切ります。
はじまりは少しずれていても、やりながら彼らは考え、行動し、成長をします。
そのために、多少のずれがあっても、
「なんとかしてくれる」
と思ってみていましょう。
最後の最後まで自分でもがくことで、その経験をフルに成長に活かせます。
それを繰り返すことで、自分で考え、行動し、失敗にくじけず検討して、また考えて行動に移せる人間へと成長します。
企業であれば、そんな部下が増えれば意思を持った大きな集合体ができあがります。
上司の仕事量が減り、部下は自ら考え行動して利益をうめるようになります。
それで何か起こってしまったら、そのとき、あなたが何とかしてください。
なぜならあなたは、山本五十六の言葉、前段にあるように「やってみせ」ることができるのだから。
■まとめ
山本五十六の言葉は、思い通りに成長させるための金言ではありません。
むしろ、その逆で、ひとりひとりの自主性を尊重させて、育てるための金言です。
個性を伸ばし、活き活きと生きられる人間を育てます。
そのため、決して思い通りにコントロールできる部下を育てるわけでもありません。
むしろ、その逆で、ひとりひとりが有機的に動くため、自己主張も強くなります。
時には上に立つ側の意思とは全く違うことを言ってくるでしょう。
それさえ、話し合い、理解してもらい、時には笑顔で受け入れる必要があります。
結果として、上に立つ人間も成長するための金言なのです。
前段、中段、後段、そしてそれらすべてが一つとなった時の意味を理解し、
より効果的にこの言葉を活用していきましょう。
1.目的に向かって、自分で考えて行動する姿を見守り自主性を尊重する
2.ミスへの対処も含めて信頼してまかせ、あらゆる経験を歓迎する
3.自己主張や個性、主体的な行動を歓迎して、積極的に検討する力と行動力を高める
そして、金言には書いていませんが、、
4.教える人間も、部下や子供との話し合いや摩擦を通じた成長が必要
どんな相手に対しても、その考えや行動をかるく扱わない、
尊敬する心をもって接することの大切さを教えてくれています。
この時代にこの考え方を持つ司令官がいる奇跡