■山本五十六の有名な言葉
「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」
「話し合い 耳を傾け 承認し 任せてやらねば 人は育たず」
「やっている 姿を感謝で 見守って 信頼せねば 人は実らず」
会社で新人教育をやる際に、この言葉は素晴らしいなぁ、と感じていた。
家で、育児をする時にも、常々そう思って、できるだけ実践するように、と行動している。
難しいけれど。笑
教育の本質だと、常々感じます。
だからこそ、昔も今もさび付かない教えとして、語り継がれるのでしょう。
そんな話を友人の研修担当と話した時に、その有名な前半部分だけをとりあげて
熱く語っていた。
そして、後半を知りませんでした(正確には「なんかあった」けれど覚えていないとのこと)
そこに、違和感を感じたので書きます。
■「やってみせ…」のくだりは、「人を動かす」ことにあり
このくだりは「教育のため」というよりも、相手を動かすための手段です。
人が成長するためには、その成長のために動く必要があります。
その、「成長のための動きを、相手にさせる方法」と言えるでしょう。
このように書くと「管理」とための名言!のようにとらえられますが、長い目で見ると、この上から目線の手法のみでは、
相手の主体性が無視されています。
なぜなら、動かすために何をすべきか、が本質なのだから。
“してみせて 言って聞かせて させてみる”
これは江戸時代の米沢藩大名「上杉鷹山(1751~1822年)」の言葉です。
明治から昭和にかけて生存していた「山本五十六(1884年~1943年)」の時代から考えて、こちらを参考にしたと考えられています。
ただ、これだけでは、本当の意味で集団を管理すること、つまり、、
「自主的に考え、行動し、反省して行動できる個々の集まり」には、させられない、と考えたのだとおもいます。
そこで、続きの文言が、必要になるわけです。
もちろん、まず人を動かす、という点においてはとても大切なことが記されています。
■「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」
・やってみせる
まず、自分ができることを伝えます。
できもしないことを、ごちゃごちゃ言われると、腹が立ちますよね。
「お前、やってみろや!」と、なります。
だからといって、毎回何かを伝えるためにやる、ということではありません。
教えている相手から「じゃあ、やてみせてよ!」となったときに、できればよいです。
部下が専門的なスキルをもつチームの管理や、高校受験の子供の教育など自分が代わってできないことであれば、
具体的な手順や準備するものなど、実現のための準備が相手に伝えられて、
それを聞いた相手が「ああ、確かにそれならできるかも、、」となればよいです。
自らの研鑽を惜しんではいけない。
相手に投げるだけではダメ、ということです。
・言って聞かせて させてみて
きちんと伝わる方法で説明する、ということ。
自分勝手にバーッと「言って」るだけでは意味がなく、「聞かせる」努力を、
「自分がしなくてはいけない」ということです。
そして、「相手がそれをやってみる」という流れまでもっていく必要があります。
「聞かせ方」が下手であれば「させてみること」はできません。
たとえば、子供に説明するときなど、注意する言葉の中に、まだ子供がわからない言葉は混じっていませんか?
そもそも、わからない、できないことを説明しているわけなので、その時点で聞く側にとっては「壁」があります。
それを乗り越えるための説明・注意の言葉に、知らない言葉が入っていたら、理解のジャマになるわけです。
そうしたことは、仕事でも同じです。
働いて10年たつ人間の常識と、入社1年目の常識は明らかにちがいます。
相手の立場を考えた、言動や言葉遣い、逆に相手の話を聞く姿勢をもたなければ、
自分の話を相手に、聞いてもらうことはできません。
聞いてもらわなければ、相手はこちらの話を聞いて動いたとしても「言われたからやる」ということになり、
「言われなければやらない」人が育ちます。
なんでいちいち言わなきゃできないんだー!なんていう風に思う人は、自分の言動を良く振り返ってみてください。
はい、振り返ったときに自分の言葉や、行動だけが浮かびましたか?
それとも「相手は新卒なのに・子どもなのに」という相手の背景もきちんと浮かびましたか?
「相手の背景を想像しながら聞く・言う」というのは、「意識的に」日々行わないとできません。
こうした努力を伝える側もしなくてはいけない、ということが書かれています。
・ほめてやらねば 人は動かじ
「人間は、報酬によってのみ行動する」という考え方があります。
報酬、は次の行動につなげるための、原動力です。
ここでいう報酬、とは金銭のみではありません。相手の承認欲求を満たすこと、つまり「ほめること」もそれにあたります。
特に、金銭の場合は、物理的な欲求なので相手は「モノ」に執着するようになります。
人、つまり自分についてきてもらうためには「ヒト」に執着(は言いすぎですが)してもらう必要があります。
そのためには「ほめること」が重要です。
■まとめ
人に動いてもらうためには、
1.まず、自分がその手本をつたえられる人間となり
2.相手に伝える努力、理解してもらえる努力をし、
3.実際に動いてもらったうえで、どんな結果であれ、その行動をほめてあげる
4.そうすることで、相手ももう一回やろう・次の行動に移そう、という気持ちになる
が必要です。
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